網入りガラスについて
戸建て住宅、マンション、団地、ビルを問わず窓ガラスの品種の中に「網入りガラス」という種類の窓ガラスがあります。 厚みは、6.8mm厚と10.0mm厚の二種類で窓に求められる許容荷重によって使い分けます。
網入りガラスってご存知ですか?
網入りガラスは防火ガラスの一つです一般のガラスは透明であったり不透明(型板やくもりガラス)であったりするのですが、 この網入りガラスとはガラスの中に鉄製のワイヤー(針金のようなものが菱形やクロスの升目のような形状)が、入っているガラスの事を言います。一般のガラス同様に。透明のタイプ(ワイヤーは磨きと言います)と不透明(型板)の二種類があります。
これは建築基準法第64条に定められた開口部の防火戸に規定される延焼の恐れのある開口部(窓やドア)にその使用が義務付けられた防火ガラスなのです。
網入りガラスの役目
網入りガラスの役目は、延焼を防ぐ事、抜け落ちにくい性能です。火災が発生した時に一般のガラスは火災の熱で一瞬に全面が割れ、窓ガラスが崩れ落ち、 穴が開く事で隣の家などに燃え広がる可能性があります。
防火ガラスである網入りガラスの場合もすぐにヒビが入ってしまうのですが、中に入っている針金が窓ガラスの脱落を防ぎ、 すぐにガラスが落ちない事で空気の出入りを抑えられるので被害を最小に納める効果があります。 これを60分耐火と言います。
戸建て、マンションを問わず、その建物の建築時にきちんとした防火に関するルールと照らし合わせ、 防火が指定される窓にはこの網入りガラスが使われるのです。(耐熱強化ガラスのような防火ガラスもあります)
また、組み合わせられる鋼製建具(アルミサッシやスチールドア等)には、国土交通大臣認定の証紙「fマーク」などがありますのでこれを基準に防火ガラスを選択するのも良いでしょう。
網入りガラスを使わなければならない開口部とは
一般的にどのような場合に法規上網入りガラスを使わなければいけないかですが、 その建物が防火指定地区にある場合や次のような条件の時に網入りガラスを使わなければなりません。
・1階部分の場合・・・その開口部(窓やドア)が隣地境界線や道路の中心線、また、外壁間の中心線から3m以内にある窓
・2階以上の場合・・・その開口部(窓やドア)が隣地境界線や道路の中心線、また、外壁間の中心線から5m以内にある窓。
<重要!>
マンションの廊下側はほとんどが防火です
マンションの場合には、上記のような場合以外であっても防火が必要な開口部になる事があります。 建物によって異なりますが、共用避難通路に指定される通路に面する窓や、共用廊下側などの窓には防火が指定され、網入りガラスが使われています。
網入りガラスをペアガラスに交換する際の注意点
現在、網入りガラスが入っている窓は、防火が指定される開口部になります。これは戸建て、 マンションを問わず法規上決められたものでありますから、その建物が新しくても古くても防火性能を満たす窓ガラスである必要があります。 この網入りガラスを窓のリフォームで断熱ガラスやペアガラスに交換する時にも、 網入りガラスなどを組み合わせた防火性能を満たすタイプを選ばなければなりません。
アタッチメント付きペアガラスは防火指定の開口部に使えません
広く普及しているアタッチメント付きのペアガラスタイプ(ペヤプラスなど)は、防火用に網入りガラスを使ったタイプも過去にはありましたが、今現在は旭硝子の自主規制により精算を行っていません。
アタッチメントの誕生から出荷が続いていましたが、このアタッチメント自体が防火性能を満たさないという重大な問題が2012年に発覚し、 それ以来アタッチメントを使ったタイプは防火が必要な窓(今網入りガラスが入っている窓)には使えなくなってしまいましたので、 これには十分注意してください。
交換する際の選択肢(戸建ては防火ペアガラス不適合)
このペアガラスのアタッチメントが防火不適合である法改正は、窓のリフォームに大きな衝撃をもたらしました。問題は木造戸建て住宅です。
「木造戸建て住宅用サッシに入れ替えられる防火ペアガラスがなくなった」
既存窓ガラスが網入りガラスでペアガラスに交換する場合、網入りガラス仕様のペアガラスにアルミ製アタッチメントを介して入れ替えてきました。
一般ペアガラスの場合 防火仕様 総厚16.0mm
真空ペアガラスの場合 防火仕様 総厚10.0mm
しかし、2012年のガラスメーカー自主規制により上記二種類のアタッチメント付きペアガラスの生産ができなくなりました。 これは、「アルミ製のアタッチメント自体」が防火基準を満たさない事に所以します。
ですから、この場合に窓の断熱や結露対策をする場合、内窓の設置しか方法がありません。
「マンションの場合は、防火ペアガラスに交換できます」
マンションの様な非木造の建物の場合、アルミサッシはビル用サッシになります。一般にビル用アルミサッシのガラス溝幅は14〜17mmですので、防火仕様のペアガラスでもいくつか適合できる製品があります。
マンション向けリフォーム用防火ペアガラス
・日本板硝子クリアFit 総厚10.0mm Ug値2.50W/㎡K
・旭硝子ペアスマート 総厚10.0mm Ug値1.92W/㎡K
・日本板硝子スペーシア 総厚10.0mm Ug値1.40W/㎡K
これらの防火ペアガラスは、以下のポイントがあります。
1,網入りタイプでも薄型設計
従来のペアガラスで防火網入り仕様の場合、薄くても総厚16mmとかなり厚く、施工には専用のペアガラス用サッシが必要でした。 真空ガラススペーシアやペアスマートの防火仕様の場合、厚さが10mmなので標準的なマンション用のビル用サッシ(ガラス溝14mm)もそのまま入れる事ができます。
2,ゴムパッキンも防火性能を満たしています
スペーシアやペアスマートの防火タイプの施工に必要な副資材である専用のゴムパッキン(硬質PVCグレチャン)も防火タイプが使われています。 防火が必要な窓の場合、ガラスだけでなくガラスの周囲の副資材やアルミサッシ、その全てが防火性能を満たすタイプを使わなければいけません。 副資材も防火性能を満たすタイプが用意されている事も重要です。(シーリング施工にて納める場合には、防火戸用指定のシリコーンシーリング材を使います)
3,網入りタイプでも不透明タイプがあります
スペーシアやペアスマートの防火タイプには透明だけでなく不透明タイプもありますので、 マンションの共用廊下側などの施工であっても既存に準じたガラスをお選び頂けます。
<まとめ>
この様に、今の窓ガラスが網入りガラスであった場合には入れ替えるリフォーム用ペアガラスに大きな制限があります。
戸建て住宅なら内窓の設置による対策を、マンションの場合には真空ガラススペーシアやペアスマートの防火仕様を選択することが出来ます。
このような観点からも、真空ガラススペーシアの真空構造のメリットが分かりますね。