窓の断熱に必要なスペックや各メーカーのガラスについて性能比較を含め説明します

結露対策研究室
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窓の断熱の為に必要なスペックについて

壁は寒くない窓が寒い

冬場の窓際の寒さというものをほとんどの方が経験した事があると思います。 これは建物において窓が他の部位(壁、天井、屋根)に比べて断熱性が大幅に劣る事から起きている現象です。

住宅において壁、天井、床に関しては指針となる断熱性の基準があるのですが、窓に関しましては国が掲げる最低限の「目安」しかなく、 そのレベルは他の部位に比べても相当低いレベルです。

窓の改善で大きく変わる住まい環境

住宅の開口部である窓は住まいにおいて最も熱交換の多い部位であり、ここを断熱化することで生活の快適性が大きく向上することになります。 従来の窓の寒さといえばアルミ製の窓枠、サッシの隙間、窓ガラスの3つで構成されますが、 最も断熱性の欠如に大きく起因するのは窓の見付面積の約92%である、窓ガラスなのです。

窓から入る寒さの原因

窓ガラスの断熱性能は熱環流率(Ug値)と呼ばれる熱的性能値で表す事ができます。 この数値が小さいほど断熱性が高い事を表し、比較目安となる戸建ての壁のU値は0.5W/m2・K程度です。

それに対し、従来の一枚ガラスの場合窓ガラス自体のUg値は6.0W/m2・K。 そのガラスが入った窓全体として考えた場合には8.0W/m2・K相当となり、窓の部分は壁に比べて約16倍寒いのです。

この断熱性に欠如した窓を断熱化する為には、熱の伝わるしくみである「伝導」「対流」「放射」 を制御した断熱窓にする事で窓の問題であった寒さや冷暖房効率の低下、窓の結露を大きく改善する事ができます。 次に窓を断熱改善する方法をご紹介致します。

窓を暖かくする方法とは

窓の断熱性能を向上する方法は次の二通りあります。

「内窓を取り付けて窓を二重化する方法」
「今の窓ガラスを断熱ガラスに取り替える方法」

窓を暖かくする2種類の方法

内窓を取り付ける方法
内窓の取り付けは防音性の向上や断熱性の向上など良い点も多いのですが、窓が二重になる使い勝手の変化や、 カーテン周りへの影響なども考えられ空気の取り入れ口として毎日活躍する窓としては使い勝手を考えなければなりません。 単純に断熱性能としての効果は非常に高いです。

断熱ガラスに取り替える方法
多くのお客様からご依頼が多いのは、窓ガラスを断熱ガラスに交換する方法です。 窓全体の約92%の面積を占める窓ガラスですから、窓ガラスを変えるだけで断熱性能が大きく改善し、 お困りの結露や寒さを防ぐ効果で人気があります。使い勝手も今までと全く変わらない事が、一番のメリットです。

断熱ガラスのグレードと期待値

入れ替えるリフォーム用ペアガラスには大きく分けてると2種類あります。

「従来型ペアガラス」
「新型ペアガラス」

2種類の別れるペアガラス

従来型ペアガラス
4mm以上の空気またはガスを中間層にしたタイプです。今のアルミサッシに納めるには、総厚の関係でアタッチメントと呼ばれる取り付け部材が必要となるタイプです。
期待できる断熱効果 1〜3

新型ペアガラス
0.2mmの真空中間層を持った真空ガラスタイプで、厚さが薄く今のアルミサッシにそのまま施工できるタイプです。
期待できる断熱効果 5

この2種類は、同じペアガラスですが、断熱性能の面で考えると2倍以上の開きがあります。 従来型ペアガラスの断熱性能が劣るのは、防ぐことのできる要因が伝導+放射の二点だけのためです。問題点は対流熱であり、中間層が流体(気体)であるためです。

中間層が真空の場合、ガラス間に流体(気体)がないので対流と熱の伝わりはゼロに等しく、 伝導+放射を防ぐ相乗効果で、誰もが体感した事のある魔法瓶ほどの保温効果を実現できます。

Low-e膜の重要性
理想的な断熱ガラスの実現に欠かすことの出来ない二番目の要因は、放射熱を防ぐことです。夏場、ビニール傘では日傘の効果がないように普通の透明なガラスではトリプルガラス構造であっても、放射熱のカット率は上がりません。ガラス表面に特殊金属膜を加工したLow-eガラスを組み合わせて、断熱性能30%程度の向上と、遮熱性能を持たせる事が出来ます。Low-e膜には、種類があり熱線反射率、熱線吸収率が異なり、目的に合わせて選択します。 (Low-e=Low Emissivity(ロー・エミシビティー)の略)

断熱性能アップの伝導・対流・放射

断熱性能を上げるには、熱の伝わるしくみを理解しその要因に適した構造を持つことが必要です。

伝導を防ぐ為に必要なこと

1枚ガラスの場合、ガラス断面の表面から裏面まで同一の分子で構成された素材なので外部から温められれば室内側にはその暖かさが伝わり 同じ温度になるように、そのガラス自体を介して熱が流れ伝わる現象が伝導です。 この伝導を防ぐ為には、2枚以上の距離の離れたガラスを構成する必要があり、それが中間層に空気やガス、真空構造をもったペアガラスになります。

例)
二層構造ペアガラス
三層構造トリプルペアガラス
真空構想ペアガラス

対流を防ぐ為に必要なこと

窓ガラスを2層以上にして伝導熱を防いだとしても次にポイントとなるのが中間層の存在です。 空気、ガスの中間層の場合、あくまでもそこには気体があるので温度変化による気体の上昇気流、 下降気流が起きることによって、表面の熱が奪われて反対側へ伝わってしまう事を対流熱といいます。

気体である以上比重の問題もあるのですが、これをゼロにする事は難しく、この熱の伝わりを防ぐには、 この空気、ガスの層を無くす必要がありました。それをはじめて実現できたのが中間層が真空の「真空ガラス」です。 真空構造なので対流はほぼゼロに等しく今までの高断熱ペアガラスの約2倍の断熱性能を実現しました。

例)
真空層構造
※断熱ガス(アルゴン・クリプトン)は熱の伝わりが低いだけで対流は起こります

放射を防ぐ為に必要なこと

放射熱とはお日様がぽかぽか陽気をつくってくれるように、ものを介して熱が伝わるのではなく、 電磁波の作用で熱が伝わるしくみです。サーモグラフィーのようなもので確認できるように、 空気の動きがなくても熱を放出している事が確認できることから輻射熱とも呼ばれています。

暖房器具でいうとオイルヒーターや蓄熱暖房のように空気に動きがなくても熱を放出するしくみです。

この放射を制御する為には電磁派の作用なので、その電磁波を反射する構造が必要であり、 ミラーフィルムのように熱エネルギーを反射するLow-e膜(特殊金属膜)を持ったガラスとの組み合わせが必要になります。

例)
Low-eガラスとの組み合わせ
ダブルLow-eガラスとの組み合わせ

複層ガラス(ペアガラス)の種類

複層ガラスの種類初級〜上級まで

複層ガラスの種類には以下のようなものがあります。

断熱性能 初級レベル1
ガラス+空気層+ガラス・・・伝導のみ制御した断熱ガラス(参考U値:3.6W/m2・K)

例)
旭硝子ペヤプラスFL
セントラルガラス窓ンナ(フロートタイプ)

断熱性能 中級レベル2
ガラス+空気層+Low-eガラス・・・伝導、放射を制御した断熱ガラス(参考U値:2.7W/m2・K)
ガラス+断熱ガス+Low-eガラス・・・伝導、放射を制御するが、断熱ガスが空気よりも25%程度熱伝導率が低いので空気層よりも断熱性が高い(参考U値:2.2W/m2・K)
ガラス+真空+ガラス・・・伝導、対流を防ぐ(参考U値:2.7W/m2・K)

例)
旭硝子ペヤプラスエア
旭硝子ペヤプラス
旭硝子ペアスマート
セントラルガラス窓ンナ(Low-eタイプ)
日本板硝子クリアFit

断熱性能 上級レベル3
ガラス+真空+Low-eガラス(スペーシア)・・・伝導、対流、放射を制御する断熱ガラス(参考U値:1.4W/m2・K)

例)
日本板硝子真空ガラススペーシア

※U値(W/m2・K)の値が小さいほど断熱性能に優れていると言えます。

スペーシアの高性能は数値だけでは比較できない理由

上記のように熱環流率(U値)の比較としては唯一 「伝導」「対流」「放射」をすべてクリアした真空ガラススペーシアが他ガラスの2.6倍~1.6倍以上断熱性能が高い事がわかります。

真空ガラスの高断熱高性能に肉薄するペアガラスもあります。
旭硝子「ペヤプラス」 カタログU値:2.05W/㎡K
旭硝子「ペアスマート」カタログU値:1.92W/㎡K
※真空ガラススペーシア カタログU値:1.40W/㎡K

この二種類のペアガラスの構造は「( ガラス+断熱ガス+Low-eガラス)」になります。

上記程度の断熱性能であれば「優れている」レベルと言えるのですが、実際のアルミサッシに入れる場合には既存のサッシの厚みの関係で断熱ガス層がより狭くなったり、また、風圧性能の関係で2枚のガラス厚が厚くなった事を想定すると、 U値は2.59W/㎡K 程度まで下がるので、実際にお困りの窓へ施工する事を想定すると、約2倍の開きがあると言えます。

逆にスペーシアはオンリーワンの構造のため、どのスペーシアでも断熱性能は変わりません。

まとめ!
つまり、カタログ値でのペアガラスの断熱性能(熱貫流率U値)の比較は必ずしも正しくなく、施工するアルミサッシ条件によって性能が変わることを理解してご検討頂く必要があるのです。 よって当社は真空ガラススペーシアへの交換をお勧めしています。

スペーシア以外のペアガラスを選択する事のメリット・デメリット

メリット

・様々な品種から選べる事と、コスト面が優れている事

デメリット

・アタッチメントが必要であること(アルミ部分の面積が広がる為放射冷却と結露が増える)
・遮音性能の低下(ガラスが等厚、空気、ガスがあるせいで共鳴を起こして防音性が1枚ガラスよりも低下する)
・許容耐荷重が低い事(中間二次モーメントが弱く、低層までしか対応できない)

スペーシアを選択する事のメリット・デメリット

メリット

・他のペアガラスの2倍以上の断熱性
・真空構造なので共振がなく遮音性能も高い(防音効果)
・ガラス間の強度低下が少なく風圧性能が高い(高層マンションまで対応可能)
・アタッチメントが不要(マンションでも施工可)
・Low-e膜をもつが透明度が高い
同じ建物での施工であってもガラス構成を薄くでき軽い

デメリット

・コストが他のペアガラスよりも高い

まとめ!
それぞれに良い所、劣る所があります。 もちろんそれに応じての、価格差はありますが満足度を次の書式で判断した場合にはコストパフォーマンスは「同じ」ではないかと私たちは考えます。

満足度=かかった費用/断熱効果+結露抑止効果+その他性能(遮音、強度)

この満足度は、お住いの建物の断熱性と気密性によっても異なります。 この様に考えることも、但しい比較ではないかと思うのです。

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